みつめる

観たもの、考えたこと、あれこれ

対岸の火事?

某グループの配信ドラマの予告編がゲロゲロすぎてびっくりしちゃった秋の終わり。これまでにすごく関心を持ったわけでもない人たちのことなので、正直なところダサいおじさん同士で好きにキャッキャやっててくださいという感じだけど、このご時世にこんなことマジでやるの?という企画で改めてびっくりしてる。ドラマ本編が配信されたわけではなく、現段階で実際の詳細なプロットや表現は分からないけど、予告編の冒頭で乳房を水風船で表現してみたり、「おっぱいが大量にある」というセリフがあったりする時点であんまりろくなドラマにはならないんじゃ……という予感。本人の意志とは無関係に性的なものとしてまなざされる女性のからだの一部(ここでは乳房)を「女」の記号として切り出した表現がグロテスク。グループの名前やメンバーの名前は知っているものの、コアのファンではなく配信サービスの既存ユーザーでもなく今後本編を見ることもないだろうと思うので、ただこのグループとメンバーへの妙なイメージを植え付けられただけで終わりそう。前にクロニクルの深夜おひとりさま女性突撃企画へのモヤモヤを書いたときに、件のグループのファンの方からわたしの好きなグループでも最近こういう危うい言動があって、というメッセージをちらほらともらったのを思い出したりもした。(ジャニーズの他のグループやLDHのファンの方からも同じようなメッセージをもらった)

メンバーがただの出演者で制作への関与がなかったら、事務所のマネジメントがヤバいのかなってところに着地したかもしれないけど、メンバーの持ち込み企画だったらしいというから驚き。そしてそのメンバーがキャリアも実績もあるいい大人なのもキツい。仕事である程度の地位まで到達したときに、周囲から批判的なフィードバックをもらえなくなる怖さ、「周囲から諦められちゃった人」になる怖さみたいなものを、ナイナイ岡村さんの件で目の当たりにして(矢部さんがオールナイトニッポンでそんなこと言ってた)、自分が中堅ぐらいのポジションになったときにそうならないようにするにはどうしたらいいんだろうとか、あんまり関係ないところにまで思考を飛躍させちゃったりもした。原案書いた方がそういう存在になっていたかどうかは知らないけど、この企画に関わった人たちが当時の岡村さんみたいな「周囲から諦められちゃった人」たちじゃきゃこんな気持ち悪い煮詰めましたみたいな企画は出なさそうというか。「セクハラ(権力勾配を利用した、本人の意に反する性的な侮辱や接触なんてうまくかわしてこそ良い女」みたいな謎規範や、痴漢みたいな「当たり前みたいな顔して日常の中に居座ってる性暴力」があふれる社会ではあるものの、そのような状況への批判がなされるようになってきて、関連トピックを扱うには知識もスキルも必要だという認識が(少なくともクリエイター側には)それなりに定着していそうな今このタイミングで、こんな企画にゴーサイン出せちゃうの、ほんとのほんとにマジなの……?という気持ちがすごい。自分が好きなアーティストがやってたらキツすぎてしばらく立ち直れない。未満警察のときもだいぶキツかったな……。

幼少期からルッキズムど真ん中に置かれて、アイドル雑誌の取材では異性愛中心主義的な質問に偶像として答えることを強要され続け、芸能界の規範をガチガチに内面化し、みたいな環境が続くジャニーズもだいぶ大変だろうなとは思いつつも、そんな中でも時流を見極めて柔軟に対応していく人たちも(年齢や学歴にさほど関係なく)いるしなと思ったり。むつかしや。

おわり