みつめる

観たもの、考えたこと、あれこれ

K-POPと「国家」

こないだツイッターで日本人ルーキーズゆうたくんについてのブログ記事がまわってきてて、それを見てずいぶんともやっとしたので、ちょいとだけ書いておく。

気になるところはふたつ。

K-POPのなかの混淆性

・個人のなかの混淆性

混淆性っていうかハイブリディティ。

K-POPのなかの混淆性」はひとまず「ひとつのグループのなかに韓国出身韓国育ちだけではない様々な出自を持った人がいる」「楽曲制作に様々な背景を持つ人が携わっている」というようなことを想定してる。

たとえば、f(x)のメンバーには台湾系アメリカ人のアンバー、中国人のビクトリア、韓国系アメリカ人のクリスタルがいるし、JYPから出たGOT7のメンバーなんて出自がバラバラすぎてよくわからないことになってる。つまりK(orean)-POPではあるけれども、それをつくっている人たちは表方、裏方にかかわらず、Koreanに限定されてはいないということ。(何をもってKorean-韓国人とするのかは難しいところだけどとりあえずそれはおいとく)

で、「個人のなかの混淆性」。パクユチョンとf(x)のクリスタルを例にあげて説明してみる。

ユチョンは韓国で生まれ育ち、10歳のときに父親と弟と一緒に渡米。その後高校ぐらいまでアメリカで過ごすものの、オーディションに受かって韓国へ戻ってくる。日本で使われてる用語でいうと「帰国子女」にあたる。デビュー後のインタビューでジェジュンがユチョンの韓国語の発音がおもしろいと言っていたりする。(「ヨンドゥンポ」が「ヨンドゥンfor」になっておもしろいみたいなことを言ってた)

クリスタルはアメリカ生まれアメリカ育ち。7才のときにスカウトを受けたとインタビューにはあるけど、韓国で暮らすようになったのがいつなのかは分からない。でもアメリカで生活し、ある程度の教育を受けたあとに韓国に来ていて、しかも中学はインターナショナルスクールに通っている。「韓国人」ではなくて「韓国系アメリカ人」というふうにプロフィールにはのっていることが多い。

ユチョンやクリスタルについて彼らは「韓国人」か? という質問は単純そうで、実はそんなに単純じゃない。と思う。そもそも「韓国人」って誰だよ、という質問からスタートしなくてはいけないし、彼らを「○○人」とか「○○系××人」だと決める(名づける)のは誰なんだという話にもなってくる。

混淆性ということばを使ったけど、たとえばクリスタルにとって「アメリカでの生活から得た身体動作やら習慣」と「韓国で生活から得た身体動作やら習慣」というものは、異種のものが混じり合っているというよりか、そもそも異種と認識されていない可能性もあるのではないかと思ったりもする。大多数の人は「ひとつ」の「文化」が共有される場所で生まれ育つから、それが「ふたつ」に見えるだけで。(やたらかぎかっこがついているのは察してください……文化なんて単語を定義もなしに適当に使うものではないのは重々承知してる……)

日本人ルーキーズのゆうたくんに話を戻すと、彼はK-POPのなかの混淆性を引き受けるひとりにはなっていくんだろうなと思う。だけど、当たり前のことだけどひとりの個人は国の代表ではない。その人はたまたまその土地で生まれ育って、その国のパスポートを持っているというだけのこと(たまたまその土地で生まれ育ってもその国のパスポートを持たない/持てない人もいるけど)。でも、国という枠組みで世界を見ることが当然になっている大多数の人たちは、彼に「日本人として」の何かを期待するんだろうなとも思う。

「日本」という二文字が具体的に何をさしていて、「日本人」はどのような人たちのことをさしているのかを考えることも調べることもしないまま、あたかもそれらが確固たるものとして存在するかのようにふるまう。しょうがないことだけど。ただ、ゆうたくんはそういった人たちの期待にこたえようとするんだろうなとも思う。

それは個人のなかの混淆性にかかわる部分で、ゆうたくんについては、「日本」と「韓国」という、実体があるんだかないんだかいまいちはっきりしないようなものを、実存するものとして自分のなかに持っているんだろうなとも思うので、なんとも言えない部分もある。ある程度の年齢になっていくと、自分の文化と他者の文化を区別して、それらをはっきり別のものとして認識してから受容するようなところもあるだろうなって個人的には思ってるので。

全然まとまらないけどなんかもやもやしたからつれづれなるままに書いてみた。

とりあえず「国」にそこまでこだわらんでいいやんっていうことが言いたいだけ。