みつめる

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クリープハイプ「世界観」

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世界観

久しぶりに出たアルバム。久しぶりにライブに行くことになって、発売日から3ヶ月近く経とうとしているこのタイミングで聴いてみた。尾崎くん、どうしちゃったんだ。いい意味で、どうしちゃったんだ。

2014年の8月にあったホールツアー以来、クリープハイプのライブには行っていなくて、楽曲も「寝癖」がそんなに好きじゃなかったり、アルバムもピンと来なかったりで、あんまりちゃんと聴いてこなかった。だけど、今回のアルバムは最高だ。間違いなく最高だ。ロキノンの人みたいな文章になっちゃっているような気もするけど、最高なんだから仕方ない。

最初の「手」を聴いたときは、ホッとしたような、不思議な気持ちになった。この人たちは変わっていないな、とかそんなことを考えた。びっくりしたのは「TRUE LOVE」と「5%」で、これまで聴いたことのないクリープハイプがそこにはいて、だけどそれはたしかにクリープハイプで、すこしびっくりして、すこしドキドキした。

私のなかでクリープハイプと言えば「劣等感」とか「ひがみ」とかそういうネガティブな言葉が似合うバンドで、どこからくるのかわからない焦燥感に駆られながら、鋭い目をした尾崎くんが声を張りあげて歌うバンドだった。そこに余裕というようなものは全く見当たらなくて、だけどそういうところが私は好きだったし、そういうところがウケていたところもあったんじゃないかと思う。

だけど、その頃のクリープハイプはたぶんもういない。それが良いことなのか悪いことなのか、ということではなくて、いまのクリープハイプがあの頃の彼らとは全く異なっているという私の実感があるだけだ。大きな変化のきっかけはやっぱりメジャーに行ったことだったと思う。それは「メジャーデビュー」ということばが持つ魔法とかそういうことではなくて、単純に彼らの楽曲が売れて、そして彼らの生活レベルが上がったということなのだと思う。いつからか尾崎くんの歌がやさしくなっていて、声は変わらず万人受けすることはない甲高い特徴的な声だけれど、たとえばその裏で走るメロディとか、音の質とか、そういうところが前とはなんとなく違うものになっていた。

2014年当時の私には、それがあまり合わなくて、というか違和感があって、それを「サブカルまがいの服着てた大学生(しかもちょっとズレてる感じの)が、いつのまにかきれいめのOLさんになってたみたいな」というわかりづらい例えにしてブログに書き残していた。

だけど、今回のアルバムを聴いて、とても良い意味でクリープハイプが変わったということが分かった。私が知っているクリープハイプであると同時に、私が全く知らないクリープハイプもこのアルバムの中には入っている。これからが楽しみだと私が再び思えるような、そんな彼らがこのアルバムのなかにはいた。

メディアでどう書かれているのかを全然見ずに勢いで書いちゃったけど、インタビューや紹介の記事を見ていると、なんとなく同じようなことを書いていたので、きっとクリープハイプはこれまでは異なる段階に来たんだと思う。もっと売れてくれ。生活に心配がないプラスアルファのところをずっとキープして、そしてその中でバンドが良いと思えるもの、聴いている私たちをハッとさせるようなものを作り続けてくれ。久しぶりのライブ、とっても楽しみにしてる。

おわり