みつめる

観たもの、考えたこと、あれこれ

男のハイヒール

こないだある方から教えてもらった曲。

www.dailymotion.com

"にっぽん・なんばあず"

卓球さん何してるのとかEテレほんとに攻めてきてるなとか「六本」は「ろっぽん」だから「ぽ」なんじゃないかとかそういうのはおいといて、真ん中で踊ってるオレンジ色の人。

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JONTE' MOANING

あらゆるジャンルのダンスをバックグラウンドに持ち、世界中のダンサーに強く支持されるカリスマアーティスト/ダンサー/コリオグラファー/シンガー/ソングライター。(中略)Beyonceの世界ツアー、PVの振付/出演をはじめ、Janet Jackson、Pussy Cat DollsCiaraM.I.A.等とも共演し、Beyonceが「もし私が男なら….JONTE’になりたい!」と語り世界のDIVA達から崇拝されている。また、ファッション業界からの評価も高く、Harper’s Bazaar、NYLON、V-MAGAZINE、WWD等数々の雑誌やショーのモデルとしても活躍。
(日本公式サイトのプロフィールより)


Jonte' - HIGH KICK POW Full version

 

調べてたらMiss Aの"Touch"やT-araの"Be My Baby"の振り付けを担当した方でもあるらしくてちょっとびっくり。なぜか英語版のWikipediaは見つからなかったけど、そのかわりに2AMのグォンのソロ"Animal"を絶賛していた、という記事が出てきた。

2AMは韓国のアイドル歌手グループで、2PMとは二卵性双生児みたいな関係。(わかりづらいか)2AMのなかでもデビュー時からひときわ目立っていたのがグォン。フルネームはチョグォン。バラエティ番組で少女時代のGeeをよく踊って笑いを取っていた。そんな彼が最近出したソロ曲が"Animal"。


Jo Kwon - Animal(feat.Jung Ho-suk aka JHope of BTS), 조권 - 애니멀(feat.정호석) Music Core 20120630

ガガのパクリっぽいなって思わなくもないけど、これをテレビの音楽番組で披露しちゃうのはだいぶとんでもないことだったんじゃないか、と思ったりもする。4年ぐらいの間、いわゆるK-POPを見てきた身としては、韓国って「性」に対してすごく微妙なところがあるなっていうのが実感としてある。めちゃくちゃ際どいMVや振り付けをアイドルにさせるのに、ちょっとしたことですぐ「19禁」に引っかかってテレビ放送禁止とか放送時間帯制限っていうのがかかっちゃう。男性アイドルが女装をすることに対してはどうってことない風潮(?)があるけど、だからといって実際に女装する人たちとかLGBTの人たちに対して一般の人が理解があるわけでは全くない。(後者は日本でもそう変わらない状況があると思うけど)
そういう状況で、テレビの音楽番組でこのパフォーマンスをすることは、(韓国社会において厳しい差別の対象となる)「ゲイ」なんじゃないかとかいう「レッテル」を貼られたり、批判されたり、ということに対して相当の覚悟がなきゃできないことなんじゃないかと思ったりもする。なんだかうまく言えてない。

 

調べてると、フランスでもヒールで踊ってめちゃくちゃ話題になった方(たち)がいた。

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Yanis Marshall

Yanis Marshallは、フランスで、ヒールを履いて踊る数少ない男性のひとりである。また、ヒールで踊るダンスのレッスンを、女の子にも男の子にも行っている数少ない男性のひとりでもある。彼が「どうしてヒールなの?」と聞かれたとき、彼はシンプルにこう答える。「なぜだめなんですか?」
(オフィシャルサイトより訳・一部省略)


YANIS MARSHALL "SPICE GIRLS" Directed By FERNANDO DE AZEVEDO Feat ARNAUD BOURSAIN & MEHDI MAMINE.

これが彼らのいちばん有名な動画みたい。いろいろ検索してたら「フランスのヒール男子が踊るビヨンセがすごい!」みたいな記事もいくつか出てきた。っていうかハイヒールってルイ14世が広めたとかだし、男性が履いてたっておかしくはなかったんだよね、むかしは。なんで女性だけのものになったんだろう。ってとりあえずネットでさくっと調べてみたけどいい感じの情報は出てこなかった。いつかちゃんと調べてみたいな。

 

 

ちなみに私のなかで男性がヒール履いて踊ってる、といえばこの人たち。

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KAZAKY

 

振り付け師のOleg Zhezhelを中心に結成された他に類を見ない新しいタイプのポップダンスグループ。彼らのトレードマークでもあるハイヒールにミニマルでフェティッシュなコスチュームとセクシーでジェンダーレスなパフォーマンススタイルが世界的に注目されている
(日本公式サイトより・一部省略)​
ウクライナのグループなのは調べてみて初めて知った。メンバーの出身国は違ったりしてるみたいだけど。


KAZAKY - I Can't Stop

 

彼らからは、男性とか女性とか抜きにして、ただただ強烈な「セックスアピール」を感じてしまう。彼らの肉体の様子とか身のこなしには男性的な何かもあれば女性的な何かもあって……と書くと私は何を男性的としていて、何を女性的としているのか、というのを考えちゃうけど。とにかくなんかセックスアピールが凄まじい。肉感的というかね。

 
だらだらとハイヒールでパフォーマンスをする人たちの紹介文みたいなのを書き連ねてきたけど、気になることはふたつ。ひとつは、こういった男性(?)側からジェンダーを越えようとする(?)パフォーマンスがこの先も増えていくんだろうかということ。もうひとつは、こういったパフォーマンスをする理由と、そのパフォーマンスをしている人の性的指向を結び付けようとする必要はあるんだろうか、ということ。どっちかっていうと後者のほうが気になるかな。
つい先日グォンがミュージカル「PRISCILLA」でドラァグクイーンの役として出演したけれど、記者会見ではグォン本人の性的指向はどうなのか、という質問がたくさんあったらしい。

チョグォンがミュージカルでゲイ役を演じる。十分話題になるタイトルですね。でも『チョグォンって本当にゲイなんじゃない?』これはそんなに重要なことでしょうか?僕のことだから重要なのでしょうか? 僕にとってはちっとも重要なことではありません。そんな言葉がむしろ、その方々にとってより深い傷になる可能性もあるんです。僕のソロアルバム『Animal』の時もそうですが、僕はただ自分が持つ才能と素質を、僕が頑張って上手くやれることをお見せしたいんです。
(Kstyle記事よりグォンが言った部分を抜粋)

ただやっぱり、「それらしい」パフォーマンスをする人に対して、「あの人ってゲイなんだろうか」って気になっちゃうことは実際にある。その人がゲイだからって何かが変わるわけではないと自分では思ってるつもりなんだけど、やっぱり自分のなかで「一般的」であるとされている性的指向とは異なるものを持つ人たちは有標の存在なのかもしれない。こういうのから抜け出したいのに抜け出せない自分がもどかしい。
この人たちがやってるパフォーマンスはある種の抗議なんだろうか、それとも単なる芸術活動なのかっていうところが気になるのかもしれない。でも既存のものを壊すという意味ではどっちも一緒なのかな。とか。

単純に男の人がハイヒール履いて踊ることに、個人的には何かこうグッとくるものがあるので、この先もこういうのはどんどん増えてほしい。ちなみにわたしの最近の待ち受けはハイヒールを履いてばっちり決めたグザヴィエ・ドラン


参照URL:
http://www.jontemoaning.com/profile/profile.php
http://www.yanismarshall.com/en/?page_id=1548
http://www.ohkpop.com/52807/choreographer-jonte-moaning-praises-jo-kwons-animal-performance
https://ph.news.yahoo.com/jonte-moaning-t-ara-041520893.html
http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=1998870