みつめる

観たもの、考えたこと、あれこれ

そうかあれは「コミュニケーションとして行われる女の外見ジャッジ大会」!

タイトル強すぎたかな。

このあいだ見た企画に違和感をおぼえつつも大丈夫とスルーしていたけど今になってめちゃくちゃグロテスクさを感じてしまってすこし落ち込んでいる。好きなひとたちを好きじゃなくなる瞬間は怖いし悲しいから、そろそろ距離を取ったほうがいいのかもしれない。そのひとの生み出すものは好きでも、そのひとの倫理とか価値観が全然合わないとか、そういうことは珍しいことではないから、仕方のないことだとは分かっているのだけど。

アイドルでも作家でもバンドでもお笑い芸人でも、なんでもいいんだけど、メディアを通して何かしらの表現をしているひとのファンになるということは、そのひとの表現を好きになるということだけど、そのひとの思想や背景全てを受け入れる義務があるわけではない。一方で、自分の思い通りにはならないそのひとの思想や背景を否定するのも、基本的にはお門違いだ。(お正月の記事なんやってん、っていうツッコミが入ってしまうけどそのあたりの整合性が取れると思ってる理由はまだまとまってない)

好きなひとたちを好きじゃなくなるなんて悲しい状況にはもう懲りたから、「これはちょっとヤバいかも」というような出来事に出会ってしまったときは、好きなひとたちから少し距離を取るようにしている。いちばん分かりやすいのがバンドとかアイドル。曲だけ聴いて、インタビューは読まないしテレビも見ない。年に1、2回ライブやコンサートに足を運ぶ程度にとどめておく。それでもやっぱり好きじゃなくなってしまいそうな場合は、そうなってしまう前に、能動的に接点を持つことを避けるようにしている。存在だけは知っているけど、みたいな、ファンになる前の状況に戻す。実際には、前者でとどまる場合はほとんどなくて、おおむね後者にスライドしてしまう。さみしいけど、キツイ思いをしてまで娯楽に身を投じる余裕がわたしにはない。

そしてそれは、所詮わたしはコンテンツの消費者であるということをわたしに意識させる。言い換えれば、わたしはアイドルや作家やバンドやお笑い芸人をコンテンツとして認識していて、かれらをわたしと対等なひとりの人間としてみなしていないのかもしれない、というようなことをわたしに意識させる。かれらが提供するコンテンツから、そしてかれらそのものから、わたしはわたしの自由意志のもとにいつでもさようならができる。

閑話休題。(ここが中間地点です)

そもそもどこにもやもやしていたんだろうかと考えてみた。その結果としてのあのタイトル。

女としてジャッジされるのが苦手、と言うと語弊があるかもしれないが、性的な対象あるいは恋愛の対象として品定めされる気配や、品定めの結果を仲間内で共有される気配がとても苦手だ。だから、わたしが自分から積極的に距離を縮めようと思うのは、わたしを性的な対象として見ることがないだろう、あるいは、そういった視点を内面化していなさそうなひとたちだけに限られている傾向がある。けっこうめんどくさい性質。いきなり女というカテゴリーに入れられるのが苦手なのかもしれない。このひとはわたしをジャッジしない。だから安心していっしょにいられる。(解脱を試みようとはしているもののわたしも異性愛規範をバキバキに内面化しているのでそう思える相手は女性だったりゲイ男性だったりすることが多いかなと思ったけど、ちゃんと思い出してみると相手のセクシャリティとは意外と(?)関係がなかった。)そんなふうに考えていたことに気づいたのはけっこう最近だったけど、中学や高校ぐらいのときからそういう視線を忌避する感覚をなんとなく持っていたような気はしている。

あの日わたしが見たもの。言ってしまえば(男同士が仲良くなるきっかけという意味での)コミュニケーションとして行われる女の外見ジャッジ大会*1。そりゃ受け付けないわけだ。この答えにたどりつくまで1日ちょっとかかった。びっくりする*2

ジャッジ大会(ジャッジ大会?)が存在することも中学高校ぐらいの頃からなんとなく知っていたし、それに対して違和感や嫌な感覚も持っていたけれど、思い出してみると自分もジャッジする側として嬉々として大会に参加していた苦い記憶が蘇ってくる。名誉白人ならぬ名誉男性ってやつになりたかった時期。あんまり直視したくないけど避けて通るのもうしろめたい。

男が女をジャッジするのと、女が男をジャッジするの、なんとなく同列に扱ってはいけない気がしているけど、どうしてだろう。歴史的な背景がありそうだと感じているからかもしれない。同性の場合も内面化している場合とそうではない場合がありそうだし、ルッキズム云々についても言及してみたかったけど、どっちもややこしそうだからまた今度にしよう。

そういえば、この前受けた社内研修で、ある社員が初対面の外部講師の方を「美人講師」と不必要な形容詞つきで紹介していて、うわまじかこいつヤバいぞと思っていたら、そのあとフィードバックの時間?に別の社員からコメントでちゃんとボコボコにされていた。いわゆる中年のおじさんだったけど、献血ポスターの件でいま盛り上がってる町山さんみたいに延々と幼稚な反論をするようなこともなく素直に反省してて好感度爆上がりした。言えるし反省するしっていう弊社のこういうとこ好き。(話のオチどこ)

おわり

*1:だいたいここに書いてある。

wezz-y.com

*2:最初にドーン!と見せられたジャッジ大会への衝撃がデカかったのでこういう書きっぷりになっている。後半の流れで衝撃のいくらかは緩和された。